-2- 先進的な教育

新しい学びの手法「プロジェクト学習」を導入

本校では「プロジェクト学習」という新しい学びの手法を取り入れています。この学習法は、学生が与えられたテーマを受け身で学ぶ旧来の方法とは違い、学生自身がテーマや目標を定め、自分の力で学びを進めていく主体的な学習スタイル。知識や技術をより深く吸収できるだけでなく、課題解決力や目標達成力など実社会で求められる力が幅広く身につきます。

STEP 1 ビジョンゴール設定

身につく力 【課題発見力】

実習のビジョンとゴールを明確化します。ビジョンとゴールは、たくさんのキーワードを出しながら検討し、できるだけ具体的な言葉で表現します。そうすることで、自分の行うべきことが明らかになり、より取り組みやすくなります。また、プロジェクト学習では、すべての過程を一冊の「ポートフォリオ※」に一元化しながら学習を進めていきます。

ポートフォリオとは?

ポートフォリオ(portfolio)の語源は「紙はさみ」。新聞の記事や参考文献、学習計画、気づきのメモ、テストなどプロジェクト学習の過程で得られた資料や素材を一元管理することを意味します。

STEP 2 実習計画

身につく力 【計画力・遂行力】

ビジョン・ゴールを元に、各自がゴールに到達するための戦略、すなわち実習計画を立てます。目的・目標をあらかじめ明確にしているので、何をすべきかもはっきりとした具体的実習計画となります。実習計画を立てたら、実習の状況をイメージしながら自分で必要と思う事前学習をします。

STEP 3 情報リサーチ

身につく力 【情報を見極める力・事態への対応力】

実習開始と同時に、カルテや患者様とのコミュニケーションを通じて患者様の状態や看護に必要な情報を把握していきます。また、事前に学習した内容と照らし合わせながら、各自の実習スケジュールや受け持ち患者様の看護計画を実習指導者の方と相談します。患者様と直接関わることで初めて分かることもあり、修正・変更を加えながら、その人に合った援助計画を作成していきます。

STEP 4 看護の実践

身につく力 【課題解決力】

患者様の状況に応じて、教科書や講義で学んだこと、事前学習したことを活用し、患者様一人ひとりに合わせた看護を実践します。実際に看護をする中で「看護は看護しなければ分からない」「看護はベッドサイドにある」ことを実感し、机上の学習では分からなかった看護が学べます。実践後には必ず評価を行います。インパクトカードを活用したり、リフレクション・ジャーナルというノートを用いて患者様との関わりを振り返り、さらによい看護へと発展させていきます。実習期間中も、自分の学びに関わる様々な資料をポートフォリオにどんどん入れていきます。

STEP 5 プレゼンテーション

身につく力 【プレゼンテーション力】

実習終了後、自分の学んだこと、成長したことなどを各自のポートフォリオを俯瞰してまとめます。その中から仲間に伝えたいものを抽出し、「価値ある知」としてプレゼンテーションします。実際の体験に基づく内容なので、エビデンスに裏付けされた説得力のある発表となります。プレゼンテーションの仕方も人それぞれに工夫を凝らすので、自分の考えを相手に伝える力も身に付きます。

STEP 6 評価

身につく力 【自己成長力】

その後、発表を聞いた側が評価を「フィードバック※」します。良かった点、もっとこうしたら良かったと思う点を2色のラベルで分類して評価します。評価することで多様な視点と気づきが得られ、お互いが成長できます。

フィードバックの一例

プレゼンテーションを聞いた側は、評価をメモ用紙などに書き、ポスターに貼ります

STEP 7 ポートフォリオの再構築

身につく力 【推敲力】

これまでの学びをひとり思考でトータルに俯瞰し、「価値ある知」を再構築します。再構築したものは1冊の提案集としてファイルに閉じて図書室に保管し、誰でも閲覧できるようになっています。実体験に基づいた提案ばかりなので実際の看護に活用しやすく、教科書や参考書とは違った視点から考えることもできとても役立つ資料です。